「鉄座について大森御役所への口上」の版間の差分

提供:桜江古文書を現代に活かす会
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     極月に相成り候て月々四十貫目つつ差し上げ置候
 
     極月に相成り候て月々四十貫目つつ差し上げ置候
 
     運上銀過不足の儀は年分廻着高を以て
 
     運上銀過不足の儀は年分廻着高を以て
    御勘定御調え下されたく候、尤も銑の儀は別段
 
    に御勘定つかまつり相納め申すべき事
 
 
 
     
 
  
 
=== 4枚目(全6枚の内) ===
 
=== 4枚目(全6枚の内) ===

2018年7月6日 (金) 05:52時点における版

目録番号:ま136

担当:島根大学法文学部社会文化学科歴史と考古コース古文書ゼミ


文書画像と釈文,書き下し文

1枚目(全6枚の内)

ま-136(1).JPG

乍憚口上

去ル子年被為鉄座御取立成私共義仕
来り候商売之筋御糺之上問屋并仲買
共株被仰付永久安堵之義難有仕合
奉存候則御仕法之趣ヲ以代呂物往来差
滞之儀ハ無御座候得共鉄荷之儀御座ヘ
一手ニ御買上ヶ被置成直段等も差定リ

憚りながら口上

去る子年、鉄座御取立て成させられ,私共義仕り
来り候商売の筋御糺しの上、問屋并びに仲買
共株に仰せ付けられ、永久安堵の義、有難き仕合せに
存じ奉り候則ち御仕法の趣を以って、代ろ物の往来、差し
滞りの儀は御座無く候えども、鉄荷の儀御座へ
一手に御買上げ成し置かれ直段等も差し定まり

2枚目(全6枚の内)

ま-136(2).JPG

在之候様ニてハ代呂物之取遣不□之筋
相見ヘ申候惣体諸代呂物売買之様子
ヲ以私共兼々相考候所、右之通リ奉存候
御仕法之儀ヲ彼是申上候段奉恐入候得共
取扱相馴候儀ニ付何卒此上共御陰ヲ以
取続□手広ニ商売も仕度奉願候儀ニ
御座候右ニ付奉存候得者御座方御仕法
之儀ハ是迄之通り万事御取扱為
成鉄類売買方之儀ハ山元仕切ヲ初メ諸向
売捌方共問屋中買共相対ヲ以売買仕候
様被為仰付候ハ﹅鉄類商売かた手広
(有脱カ)
相成候様尤諸向之差支も無之筋与難
奉存候依之左ニ奉申上候
一、御座ゟ問屋仲買御取扱万端是迄之
これ在り候様にては代ろ物の取り遣り□ざるの筋
相見え申し候、惣体、諸代呂物の売買の様子
を以て私共兼々相考え候所、右の通り存じ奉り候、
御仕法の儀を彼れ是れ申し上げ候段恐れ入り奉り候得共、
取り扱い相馴れ候儀に付き、何とぞ此の上共御蔭を以て
取り続き□手広に商売も仕りたく願い奉り候儀に
御座候、右に付き存じ奉り候えば、御座方御仕法
の儀はこれ迄の通り万事御取り扱い成させられ、
鉄類売買方の儀は山元仕切りを初め、諸向き
売り捌き方共問屋・中買共相対を以って売買仕り候
様仰せ付けさせられ候わば、鉄類商売かた手広く
相成り候様、尤も諸向きの差し支えもこれ無き筋と有り難く
存じ奉り候、これに依り左に奉り上げ候
 一、御座より問屋仲買御取り扱い、万端是までの

3枚目(全6枚の内)

ま-136(3).JPG

通り被為成下度事
一、鉄類売買取引方之儀ハ問や仲買双方
  以相対売買被為仰付候様仕度尤御座ゟ
  口銭銀ハ受取不申心得ニ御座候
    (鉄)
一、■釼銑三品共束運上ニ御定め被為成下度
  事此束掛り上納之儀ハ是迄平キン均直段  
   (衍字)
  直段ヲ以鉄釼凡四拾目つゝ銑ハ拾三匁
  つゝ鉄釼束ニ四匁つゝ銑三拾貫目ニ付
  三匁九分つゝ時々高下ニ不抱上納可仕候
  尤壱ヶ年凡鉄釼登り高ハ拾弐万束之
  積りヲ以壱ヶ月壱万束之引当として
  月々銀四拾貫目つゝ右運上銀問屋中買
  ゟ半分宛割合出之上納仕度候但シ毎年
  極月ニ相成候て月々四拾貫目つゝ差上置候
  運上銀過不足之儀ハ年分廻着高ヲ以
  
一、御座より問屋仲買御取り扱い、万端是までの
    通り成し下させられたき事
一、鉄類売買取引方の儀は、問屋仲買双方
  相対をもって売買仰せ付けさせられ候よう仕りたく、尤も御座より
  口銭銀は受け取り申さざる心得に御座候
一、鉄釼銑三品とも、束運上に御定め成し下させられたき
  事、此の束掛かり上納の儀は、是まで平均直段
   を以て鉄釼凡そ四拾目ずつ、銑は拾三匁
   ずつ、鉄・釼束に四匁ずつ、銑三拾貫目に付き
   三匁九分ずつ、時々高下に拘わらず上納仕るべく候
   尤も、壱ヶ年凡そ鉄・釼登り高は拾二万束の
   積もりを以て壱ヶ月壱万束の引き当てとして
   月々銀四拾貫ずつつ、右運上銀問屋中買
   より半分ずつ割合之をいだし上納仕りたく候、但し、毎年
   極月に相成り候て月々四十貫目つつ差し上げ置候
   運上銀過不足の儀は年分廻着高を以て

4枚目(全6枚の内)

ま-136(4).JPG

御勘定御調被下度候尤銑之義ハ別段
ニ御勘定仕相納メ可申事

5枚目(全6枚の内)

ま-136(5).JPG

6枚目(全6枚の内)

ま-136(6).JPG

現代語訳

憚りながら口上
去る子年に幕府が鉄座をお設けなさった時に、私共の
商売の筋をお調べなさって、問屋と仲買に
株を末長くお認めになったことは
ありがたく思います。

そこで、政策の内容のために商品の往来は
滞ってはいないのですが、鉄を鉄座が
一手にお買い上げになって、値段も定まって
いる状況では商品の取り扱いは不自由(?)なように見えます。

一般的に諸商品の売買の様子に基づいて、私たちが以前から考えているのが右のようなところです。
(幕府による鉄座の)政策について私どもが申しあげるのは恐れ多いことですが、
取扱いに慣れておりますので、 なにとぞこれからも幕府のおかげをもって、
できるだけ広く商売をしたいと思っている次第でございます。

右のことについて考えておりますのは、御鉄座の御仕法のことでございます。
これまでの通り全て御取り扱いなさり、鉄類を売買する方法は、山元(産地)との取り引きをはじめ、
あらゆる方面の売り捌き方について問屋と仲買たちが当事者どうし相談をして売買をするよう仰せ付けなさってください。
そうすることで鉄類の商売の販路を広げることができそうでございます。
また、いろいろな方面の差支えもなさそうであることはありがたいことです。
これから左に要求したい具体的なことを申し上げさせていただきます。

一、御座鉄座からの問屋仲買に対する処置については、これまでの通りになさって下さい。
一、鉄類売買の取引については、問屋仲買らが当事者同士で売買出来るように申しつけて下さい。
尤も、御座からは仲介手数料は受け取らない積もりでございます。                            
一、鉄・釼・銑の三品ともに束を単位として運上を収めることにお決め下さい。   
この束(荷物の単位)に掛かる上納はこれまでの平均値段に基づいて、
鉄・釼については一束四十匁、銑は十三匁とした上で、
運上銀を鉄・釼は一束に四匁、銑は三十貫目に付き三匁九分、
時価の上がり下がりに拘わらず上納致します。
尤も、一年に鉄・釼の大阪への登り高は十二万束の見積もりで、  
一ヶ月一万束当たりの運上銀は、月々銀四十貫目とすると、
右の運上銀については問屋仲買が半分づつの割合でこれを出し、上納致します。
但し、見積もりで月々四十貫目上納しますが、毎年十二月になって、
実際に過不足があれば、一年間の廻着高をきちんと計算をして出して下さい。
尤も、銑は又別に計算をしてお納め致します。


    

脚註


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