恋文その2

提供:石見銀山領33ヵ寺巡り
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目録番号:y71-11

担当:古文書に親しむ会 in 松江


文書画像と釈文[編集]

1枚目(全6枚の内)[編集]

Y71-11-1h.JPG

恋しき   賀の
 御方さま      御存より
     

2枚目(全6枚の内)[編集]

Y71-11-3h.JPG

かへすかへすも■り■中を
    四十から五十むすじや
    百迄も供々しらかのはへる迄
    かならずかならずおん心のかわ
    らぬよふニ
    いのりいのり存じまいらせ候

つたなき筆を染めし
文して申上げまいらせ候
御そもじにおわし
まし候得共 誠に
君乃うつくしき
おんかほを拝しまいらせ候
たびごとに飛ひ立
思ひのやるせ く((な欠)) たれニ
かたらん人もなし
一りくふくふと物あん

3枚目(全6枚の内)[編集]

Y71-11-4h.JPG

じ 長の月日を思ひ
くらしまいらせ候得共
げにおんものがたき
君さまに 今更かよふに
わもじがむね明して
笑もおんはつかし
候得共せつなき心を
すこししつめ けふの


4枚目(全6枚の内)[編集]

Y71-11-5h.JPG

けふ迄こらへ居まいらせ
候得共 思ひの糸もつゝき
かね 君のおん心のさだ
まらぬゆへ 私も親の
ことばに得にむかず
候得共 何方へ成共
[ 虫損 ]とふかふニ参る
はつニ御座候 何様々々
此段ハ御めん被下かた
ぢけ無((のう))そんひ((存じ))申候
此上ハ 何((いず))くへ参る候共
おんたかいにおん心の


5枚目(全6枚の内)[編集]

Y71-11-6h.JPG

かわらぬよふニいのりあけ
まいらせ候 むすふの神ニ
くわんかけてねんじ
入まいらせ候あけ度
事のはハたんとたんとおわし
まし候得共まわらぬ
筆のかなしけりおしきも
筆をとめまいらせ候
まつハあらあら
    目出度

6枚目(全6枚の内)[編集]

Y71-11-7h.JPG

 申し候 以上
 自のけふ 御存より

[  の]
  御方さま


現代語訳(超意訳)[編集]

恋しきお方さま
   かの ご存じより

   かえすがえすも[   ]
   四十から五十になりましても 百ま
   でも 共々に白髪の生えるまで 必
   ず必ずお心が変わりませんように
   祈って祈っております

下手な文字で書いてお手紙を差し上げます。
あなた様の事ですが、大変、あなた様が、美しいお顔をなさっておられ、そのお顔を見ます度に飛び立つように嬉しく、
それでいて、心はやるせなくふさがります。
この想いのやるせなさを誰か話すこともできず、ただ一人くよくよと思い悩んでおります。
この想いのまま、長い月日を暮らしております。どうぞ、お話をあなた様と致したき私の胸を打ち明けて、
笑われましても恥ずかしい事ではありますけれど、この切ない想いを少しずつ鎮めて、今日の今日まで、こらえておりました。
け れども、この切ない想いの糸は続きそうにもありません。
あなた様のお心がわかりませんので、私も親の言葉に気持ちが向きません。
あなた様さえよければ、どのような処へでもどうにかこうにか参るつもりでいます。
どうぞ、どうぞこの想いをお酌み下さるようにお願い致します。
この上は、何処へ参りましょうとも、お互いの心が変わらぬようにただただ、祈っております。
結びの神様に願かけて念じおります。
申上げたいことは沢山沢山ありますが、行き届かない文の悲しさです。惜しいことではありますが、
筆を止めさせていただきます。とりあえずは、あらあら書かせて頂きました。

脚註[編集]


コメント[編集]

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== 酒井 のコメント ...

僭越ですが検討ください:かえすがえすも弐りが中(二人の仲)を 五十むそじ(六十路)や百迄も むね明していふ(言う)も 親のことばに得そむかず かたじけなくそんしまいらせ候 そのかなしさに あらあら目出度かしく 月のけふ(月のきれいな今日?)

--酒井 2013年9月4日 (水) 11:49 (JST)