雲州杵築富札についてお触書
目録番号:て39
担当:島根大学法文学部社会文化学科歴史と考古コース古文書ゼミ
文書画像,釈文,書下し文
1枚目(全4枚の内)
安政弐年 卯七月 御触書請書 大貫村 惣百姓
2枚目(全4枚の内)
雲州杵築ニおゐて毎年三月八日祭礼之 節興行いたし候富札一切買請間敷段近々相 触候趣此上弥堅可相守者勿論ニ候得共郡中 村々数多之内者賭兎角触面之趣相背候 ものも有之右者祭礼之砌信仰迄之心得 を以為参詣罷越候ものニ而も場所賑等之体を
雲州杵築而において毎年三月八日祭礼の 節興行いたしそうろう富札一切買請間敷段近々あい 触れそうろう趣、此上弥堅くあい守るべきは勿論にそうらえども郡中 村々数多の内には賭兎角触面の趣あい背きそうろう ものもこれ有右は祭礼の砌信仰までの心得 を以て参詣のため罷り越し候ものにても、場所賑わい等の体を
3枚目(全4枚の内)
見請風与心得違いたし買取候趣ニ而然ル上ハ 畢竟祭礼中参詣いたし候ゟ心得違与相聞 候間以来者縦令信仰之多免参詣いたし候 ものたりとも春秋両度祭礼中者決而参詣 いたす間敷右日限前後之内見斗村役人江 相断参詣いたし出立帰着共急度相届候様 可致若右日限中外国々江難差延要用 有之可罷越儀も候ハ`用向并ニ場所先等村 役人江申出差図可請候 右之趣小前末々迄不洩様急度申渡壱人 別ニ印形可取置候右祭礼日限中外国々江
見請け、風与心得違いいたし買い取り候趣にて、然る上は 畢竟祭礼中参詣いたし候より心得違いとあい聞き 候間、以来は縦令信仰のため参詣いたし候 ものたりとも、春秋両度祭礼中は決して参詣 いたす間敷右日限前後の内見斗らい、村役人へ 相断り参詣いたし、出立帰着とも急度相届けそうろう様 致すべし。若し右日限中外国々へ差し延ばし難く、要用 これ有り罷り越すべき儀もそうらはば、用向并に場所先など村 役人へ申し出で指図請くべくそうろう。 右の趣小前末々迄洩れざる様急度申し渡し、壱人 別に印形取り置くべく候、右祭礼日限中外国々へ
4枚目(全4枚の内)
要用有之他行いたし度趣申出候ものも 有之候ハヽ用向幷ニ罷越候場所等得与相糺紛 敷儀も無之候ハヽ差遣候様可致候此触書承 知之旨村名下江令請印刻付を以早々順逹 留村ゟ可返上もの也 大森 卯七月十九日 午ノ刻 御役所 前書被仰渡之趣一同承知奉畏候 以来急度相守可申候依之一同連印仕候 以上 大貫村 仙平(印) 亀平(印) 安政弐年 直兵衛(印) 卯七月廿二日 秀平(印) 林作(印)
要用これ有り他行いたしたき趣申し出候ものも これ有り候はば、用向幷に罷り越し候場所等とくとあい糺し、紛らわしき 儀もこれ無く候はば、差し遣わし候様致すべく候、この触書承知 の旨村名下へ請印せしめ刻付を以て早々順逹 留村より返上すべきものなり 大森 卯七月十九日 午刻 御役所 前書仰せ渡されの趣一同承知畏み奉り候、 以来急度あい守り申すべく候、これに依り一同連印仕り候 以上 大貫村 仙平(印) 亀平(印) 安政弐年 直兵衛(印) 卯七月廿二日 秀平(印) 林作(印)
現代語訳
右のように祭礼のときに信仰心から参詣して大社に出向いたものも、 場所が盛り上がっている様子を見て、自分も買ってみようと思ってしまう。 そうであるならばつまるところ祭礼のときに参詣をすると心得違いをしてしまうので、 これからはたとえ信仰心からの参詣であっても、春秋両方の祭礼中は決して参詣してはならない。 祭礼期間の前後のうちを見計らって、村役人へ知らせた上で参詣し、 出発と帰った日を両方必ず届けるようにしなさい。ただ、祭礼期間中、 他の国へ延期できない用事があって出向いていくことがあったならば、 目的と行き先を村役人に申し出て、指示を受けてから行きなさい。 右の事は小前百姓の下々にまで洩れることがないように必ず言い渡し、 一人一人 別に印形を取っておくべきである。右の祭礼期間中に他の国々へ必要な用事があって外出したいということを申し出る者がいれば、 用事の内容や参上する場所などをしっかりとよく調べること。 その上であいまいな内容がなければ、外出させてもよい。この触書を承知したという旨を村名の下に請印を押し、 時刻を記してすぐに順次送達し、最後の宛名の村より御役所に返上するべきである。 卯七月十九日午の刻 大森御役所 前書で仰せ渡されたことは、一同承知いたしかしこまりました。 以後必ず仰せ渡されたことを守ると申し上げます。これより一同連印いたします、以上。 大貫村 仙平(印) 亀平(印) 安政弐年 直兵衛(印) 卯七月廿二日 秀平(印) 林作(印)
脚註
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