おさん入用帳
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(おさんさんの嫁入り道具の覚え)
目録番号:て17
担当:古文書に親しむ会 in 松江
文書画像と釈文
1枚目(全16枚の内)
天保三年 おさむ入用おぼへてふ
2枚目(全16枚の内)
浜西[1]より入覚 二月廿五日 一綿壱貫目 三月廿九日 一浜田札[2]三拾目 内 廿四匁六分 うち木綿三反余買 五匁四分 綿代 〆 一大夜着[3] 壱ツ 一敷ふとん 〃 一かけふとん 〃 一本紬[4]綿入 〃 但ふり袖 一越後帷子 弐ツ 同断 一もよふちりめん[5] 四尺
3枚目(全16枚の内)
一黒天鳶絨[6] 壱ツ ゑりかけ[7] 一鏡 壱面 一はり箱 壱ツ 一挟箱[8] 壱荷 あふひ共々 一小夜着 染代 一木綿とひ色[9] 同断 一十一月廿八日 浜田札廿五匁 一あき札[10]廿六匁三分 内 閏十一月五日 浜田札廿匁三分 綿木綿代 金十払 十二月十五日 浜田札□匁 同人
4枚目(全16枚の内)
綿代 十一月十六日 あき 一浜田札百弐匁 たくみや払 たんす二ツひつ[11]壱代 一〃弐百拾匁 受取 一アキ札四拾匁 巳三月九日 一金子壱匁 是ハ周治へ払 一浜田札七分 〆
5枚目(全16枚の内)
破積屋[12]方覚 二月十日 一かせ[13]百十六匁 花色 _ 一〃弐十弐匁 もへき[14] 四月十二日 一〃弐百八十八匁 花色[15] _ 一木綿ふじ色[16] 染かへし[17] ふりそで _ 一よこ紬とび色 同断 同断 九月 一かせ百廿目□ 花色 _ 一木綿ひんろうし[18] ふり袖 _ 一よこ紬帯 ひわ茶[19]
6枚目(全16枚の内)
一花色紋縮緬[20] わた入一つ 本もミうら 但ふりそて 一紫もんちりめん 同断 右同断 〆波積屋より貰
7枚目(全16枚の内)
福田屋買物覚 二月十五日 一木綿小紋[21] 七尺 代 一こはく[22]男帯 一筋 代十三匁五分 一まかひかんさし[23] 一対 一白賀ヽ[24] 六丈四尺七寸 上之分 一同 六丈七尺八寸 中之分 一ちヽぶ[25]こもん 四丈七尺三寸 壱匁三分切 一あうめ嶋[26] 壱反 一緋さらし 四尺五寸
8枚目(全16枚の内)
せんざいちゃ[27] 一ちヽふこもん 壱丈壱尺 壱匁弐分切 一〃花色こもん 壱尺六寸 一もみ[28] 四尺九寸 壱匁切之分 一〃 壱丈五尺五寸 八分切 一白綸子[29] 壱表[30] ふり袖 一〃 四尺 是ハしばん 一〃かヽ 三丈五尺三寸 綸子のうら也 一木綿さらさ[31] 四尺三寸 しはんの袖
9枚目(全16枚の内)
一紅地いた〆[32]ちヽふ 六尺 一ちヽぶ紅しぼり[33] 一もみ 壱丈七尺七寸 八分切 一〃 六丈四尺四寸 同断 一花色ちヽぶ 弐尺五寸 一もみ 壱丈一尺五寸 八分切 一本もみ 三丈五尺五寸 壱匁四分切 一木綿さらさ 壱丈八尺八寸 一〃あいこもん 壱丈三尺 五寸
10枚目(全16枚の内)
一花色かヽ 壱表 一糸錦[34]こし帯[35] 壱筋 一黒繻子[36]ゑりかけ 一つ 一ねりきぬ[37] 壱尺五寸 但半ねり[38] 一本もみ 同断 右うら 大小二 一鏡のす[39] 弐つ 一鏡たて[40] 壱つ 一のべ綿 八つ 一糸 九十 一まくら 壱つ 一さしぼくり[41] 壱足
11枚目(全16枚の内)
一たび 三足 一黒繻子帯 壱筋 一ちヽふ帯 壱丈 一じようす[42] 一 一わたしかね[43] 一 一かねわかし[44] 一 一さらし木綿 壱丈三尺
12枚目(全16枚の内)
手前覚 五月廿日 一浜田札五匁 綿代 八月 一〃七匁五分 同断 金十払 九月 一〃五匁 同断 〃五日 一〃十匁七分 鏡とき[45]ちん 浜田与平払 _ 一〃六匁六分 うら木綿代 金十払 十月八日 一〃十匁 わた代 同断 廿一日 一〃八匁五分 木綿八□代 同断 廿三日 一〃十七匁六分 木綿弐反代 福田屋払 喜左衛門より出 _ 一〃弐匁 わた打[46]ちん 一〃廿五匁 木綿代 但小夜着之分 一しけ糸[47] 一ぬり四十目
13枚目(全16枚の内)
辰年 一銭七貫百七十壱文 周治殿 おさむ分買物代 同 一〃弐貫三百七十文 山本屋 同人染物代 〆 是ハ喜左衛門より払
14枚目(全16枚の内)
おさむ着物覚 一緋縮緬 一 松竹梅惣もよふ[48] 一花色綸子 一 すそもよふ[49] 一白綸子 一 一白むく[50] 一 ちヽぶ 一小紋むく 一 一〃紅かのこ[51]まハり[52]むく一 一花色かヽ 一 すそもよふ 一紫紋縮緬 一 波積屋より貰 一花色紋縮緬 一 同断 一紫本紬 一 浜西より貰
15枚目(全16枚の内)
一木綿ひんろうし 一 うらつき 一〃ふし色 一 同断 一よこ紬あわせ[53] 一 〆 右何れもふり袖 一とめ袖 一 あふめ嶋うらつき 一ちちふいたしめ 一 一木綿さらさ 一 むく 一〃あいこん 一 一〃糸嶋 四 一〃びんろうし 一 一〃糸嶋[54]あハせ 二 一青梅嶋〃 一 一〃ひとへもの[55] 一
16枚目(全16枚の内)
一帷子白さらし 二 ふり袖なり 一緋さらし 一 同断 一〃越後もよふ付 二 同断 是ハ浜西より貰 一〃とめ袖 二 但きけうもよふ付 しま 一帯惣金錦 一 一〃こきんらん[56] 一 一〃糸にしき 一 一〃黒しゆす 一 もよふ付 一〃白とんす[57] 一 一〃もほふる[58] 一 一打合[59] 数々 〆 外ニ木綿きもの数々
脚註
- ↑ 邑智郡浜原村の西田屋。大貫村西田屋の分家
- ↑ 浜田藩が発行していた紙幣。藩札。
- ↑ おおよぎ。綿が入って着物の形をしている掛け布団の一種。夜着には大夜着、中夜着、小夜着がある。
- ↑ 絹100%の紬。紬は、屑繭や真綿を紡いで撚りをかけた糸で織った平織りの絹布。
- ↑ 縮緬。平織りの絹布。撚りのない経糸と強い撚りをかけた緯糸を使うので、精練後の表面には細かな凹凸がある。
- ↑ ビロード
- ↑ 掛け襟。襟が汚れないように着物の襟の上に掛けたもの。
- ↑ はさみばこ。調度装身具を納める長方形の箱。
- ↑ 鳶色。江戸前期からあらわれた代表的茶色。
- ↑ 安芸広島藩の藩札。
- ↑ 櫃。上に向かってふたの開く大型の箱。
- ↑ 邑智郡中野村波積屋植田か。おさむの姉おさちの嫁ぎ先。
- ↑ かせ糸。かせ枠に糸を一定回数巻いてとりはずし、その糸を束ねたもの。
- ↑ 萌黄。色名。萌え出た若葉のような冴えた黄緑色。
- ↑ 色名。藍の単一染めの純正な青。元はツユクサの花汁で摺り染をしたことに由来。
- ↑ 藤色。
- ↑ 染返。色のさめたものをもう一度元の色または別の色に染めなおすこと。そのもの。
- ↑ 色名。ビンロウジ(マレーシア原産、ヤシ科)の実で染めた黒褐色。
- ↑ 色名。鶸茶または枇杷茶。鶸茶は鶸色(明るい緑黄)の変相色で、緑味のにぶい黄色。江戸時代に着物の色として何度か流行。枇杷茶は枇杷の実の色を茶がからせた浅い黄褐色。
- ↑ 紋織りの縮緬。模様のある縮緬。
- ↑ 細かな模様の折り返しを一面に染めだした布。
- ↑ 琥珀織り。絹織物の一つ。緯糸の方向に低い畦がある平織物。
- ↑ 似たり(牛の角を用いて鼈甲に似せて作ったもの)のことか。
- ↑ 加賀(石川県南部)絹。
- ↑ 秩父(埼玉県秩父市)産の絹織物。
- ↑ 青梅(東京都青梅市)産の縞織物。または粗末な絹糸を経糸、綿糸を緯糸にした織物。
- ↑ 千歳茶。色名。暗い緑褐色。
- ↑ 紅絹。べに色に染めた絹布。紅花を揉んで染めることに由来。
- ↑ りんず。後練りの綸子織りの絹織物。
- ↑ 助数詞。仮仕立ての着物を数えるときに使う。
- ↑ 更紗。インド起源の草花・鳥獣などの文様を染めだした綿布。
- ↑ 板締。模様を彫った板を2枚以上重ねてその間に布を堅くはさんで染め抜く染色法。その染めたもの。
- ↑ 生地を縫ったり縛ったりして絞り上げ防染する染色法。
- ↑ 数種の色糸を用いて模様を織り出した織物。
- ↑ 腰帯。帯に同じ。または腰紐。
- ↑ しゅす。織物の表面に経糸か緯糸のどちらかを浮かせたもの。表面は光沢があり、生地は柔らかい。
- ↑ 練絹。生織物を精練し柔軟性と光沢を持たせた絹布。
- ↑ 半練。生糸を精練するとき、セリシンを半分程度除去すること。その生糸。本練りに対していう。
- ↑ 鏡の家。鏡を入れる箱。
- ↑ 鏡をたてかける木製の枠、または台。鏡掛け。鏡台。
- ↑ 差木履。高い歯を入れた下駄。
- ↑ お歯黒液を入れる金属製の器。金漿つけ椀。
- ↑ 渡金。
- ↑ 金漿沸かし。鉄漿を沸かす器。
- ↑ 鏡磨き。銅鏡のくもりをみがくこと。その職人。研粉を混ぜた水銀およびカタバミやザクロの汁で磨く。
- ↑ 綿打ち。繰り綿を綿打ち弓で打って柔らかくすること。その職人。
- ↑ 繭の上皮から取った粗末な糸。節が多く太さも不揃い。
- ↑ 総模様。衣服の肩や袖から裾の部分まで、前後左右全体に模様が描かれているもの。
- ↑ 裾もよう。裾に付けた模様。その模様のある着物。
- ↑ 布地が全部無地で同色のこと。多く白無垢をいう。
- ↑ 鹿の子絞り。布を小さくつまんで糸でしばって染色し、白い斑点模様を染め出す。その布。
- ↑ 裾回し。着物の裾裏につける布地。
- ↑ 袷。裏地のついている衣服。
- ↑ 木綿縞に絹糸を織りこんだもの。糸入り縞。
- ↑ 一重。単(ひとえ)。裏地のついていない衣服。
- ↑ 古金らん。室町~江戸初期に渡来したといわれる金らん。金らんは、平金糸を織り込んだ織物。
- ↑ 緞子(どんす)。練り糸を用いた緞子地の紋織物。
- ↑ モール織りか。ムガール帝国の特産。
- ↑ うちあわせ。裏と表を違う布で縫った帯。
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