きさと斧右衛門との取りかわし証文
ナビゲーションに移動
検索に移動
目録番号:ま106
担当:島根大学法文学部社会文化学科歴史と考古コース古文書ゼミ
文書画像と釈文
1枚目(全2枚の内)
取替申一礼之事 一 私不女意ニ而田畑家屋敷等も売払申候 所夫婦中も睦敷無御座故離縁仕家遣 道具等相改おきさへ引渡申候勿論鍛冶屋 名田畑之儀ハきさへ相戻候間存分ニ作配 可有之候娘かね儀もきさの方ニ而養育 致成人之上幾六殿より片付致被呉候様 村役人中より御究被下委細承知仕候然ル 上ハ右一件ニ付後日少しも申分無 御座候為其一札相渡申所件如 安永九年 子十一月 本人 斧右衛門 証人 伊右衛門 同 弥三右衛 同比敷村 庄蔵 頭百姓 宗右衛門 庄屋 幸右衛門 きさどの 砂井 安左衛門 殿 西田屋 幾六 殿
2枚目(全2枚の内)
取替申一札之事 一、私夫婦中不宜此度不縁ニ罷成候ニ付家遣道具 相改御渡被下慥ニ請取相済申候銀子等取引之義ハ 此度目録通相違無御座候かじや名田畑之儀 御戻シ私名前ニ仕候娘かね事私方ニ而養育 致盛人之上西田屋世話を以片付致候様村役人 中御究被下委細承知致候ニ付一札相渡し 置申所如件 安永九年子十一月 本人 きさ 親類濱原 同断砂井 安左衛門 同断宮内村 伊右衛門 同断布施村 弥三右衛門 証人比敷村 庄蔵 同宮内村 頭百姓 宗右衛門 同 同村 庄屋 幸右衛門 斧右衛門 殿
書き下し文
取り替し申す一札の事 一 私不女意にて、田畑家屋敷等も売り払い申し候 所、夫婦仲も睦まじく御座無き故離縁仕り、家遣い 道具等あい改め、おきさへ引き渡し申し候。勿論鍛冶屋 名田畑の儀はきさへあい戻し候間、存分に作配 これあるべく候。娘かね儀もきさ方にて養育 致し、成人のうえ幾六殿より片付け致しくれられ候様 村役人中より御究め下され委細承知仕り候然る 上は右一件に付後日少しも申し分なく 御座候そのため一札相渡し申すところよって件の如 (以下氏名略) 取り替し申す一札の事 一、私夫婦中宜しからず、此の度不縁にまかり成り候につき、家遣い道具 あい改めお渡しくだされ、たしかに請け取りあい済み申し候。銀子など取引の義は 此の度目録通り相違ござなく候。かじや名田畑の儀 お戻し私名前につかまつり候。娘かね事私方にて養育 致し成人の上西田屋世話をもって片付け致し候様、村役人 中おきめ下され、委細承知致し候に付、一札相渡し 置き申すところ件のごとし (以下氏名略)
現代語訳
(夫婦間で)取り交わした文書のこと 一 私は財政難になり、田畑や家屋敷なども売り払ってしまったところ、 夫婦仲も良くないため(妻おきさと)離縁します。家で使う 道具なども調べたうえで、おきさへ引き渡します。勿論、鍛冶屋 名の田畑はきさへ戻したので、自由に管理 されるがよいでしょう。娘のかねについても、きさの方で養育 し、成人したら幾六殿の方で何らかの処置をしてくれるよう 村役人が決めてくださったので承知しました。 そのため、後日何の不満もありません。取り決めたことは以上の通りです。 (夫婦間で)取り交わした文書のこと 一、わたしたち夫婦が仲が良くなく離縁したことをうけて、家で使う道具を 調べたうえで(私に)お渡しくださり確かに受け取りました。お金のやり取りについては このたびの目録通りで間違いありません。かじや名の田畑については お戻しになられたので私の名義になりました。娘かねについては私が養育し かねが成人したら、財産の処置は西田屋がしてくださるように村役人が 決めてくださったので承知しました。取りきめたことは以上の通りです。 (以下氏名略)
脚註
コメント
<comments hideform="false" /> トーク:きさと斧右衛門との取りかわし証文