「小谷村の畑林山売渡證文」の版間の差分

提供:石見銀山領33ヵ寺巡り
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担当:島根大学法文学部社会文化学科歴史と考古コース古文書ゼミ
 
担当:島根大学法文学部社会文化学科歴史と考古コース古文書ゼミ
  
担当:古文書に親しむ会 in 桜江
 
  
担当:古文書に親しむ会 in 松江
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== 文書画像と釈文、書き下し文 ==
  
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=== 1枚目(全2枚の内) ===
  
== 文書画像と釈文 ==
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[[ファイル:P1030142.JPG|600px]]
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弐年季売渡申畑方林山之事
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所ハ小谷村原ノおくゑのむかい
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一畑方弐斗五升前   境目義かみしも貴殿
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           さかへ大そねしたハ谷川
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           限り此内竹木浮徳毛
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           之上有之諸有無残り
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一林山
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 此山役判銀弐分
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  座役  弐分   只今請取申候
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  代銀〆弐貫目
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右者私共寄合ニ小谷村所持仕候畑方林山
 +
此度相談得心之上貴殿へ売渡し申所紛無
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御座候則代銀書面之通り慥ニ請取差支御上
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納其外払方等迄相済御公儀表内々迄無障
 +
売渡申候然上ハ当戌年ゟ御公儀御上納方并
 +
地下諸入用等迄貴殿御勤可被成候畑方林山
 +
御才判可被成候尤来亥十二月十五日限り右本銀
 +
弐貫目御返済仕候ハヽ右地所御戻し可被下候
 +
請返ニ仕候とも立木壱はへ分者貴殿御伐り
 +
取可被成候若切日限ニ銀子支度不相成請
 +
返シ不仕候ハヽ、別紙捨証文不及仕此証文ヲ以貴殿
 +
幾々任御心御存分ニ御才判可被成候いヶ様
 +
得心之上売渡し申上ハ其節私共ハ不及申
 +
子孫親類至迄一言申分無御座候
  
=== 1枚目(全2枚の内) ===
 
  
[[ファイル:2-1-1.JPG|600px]]
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弐年季売り渡し申す畑方林山の事
 
+
       借用申銀子事
+
所は小谷村原のおくゑのむかい
    丁銀弐拾五貫目也  但 申三月元日十二月切利ノ分壱割半ニシテ
+
  一畑方弐斗五升前   境目義、かみしも貴殿
  右者二之丸御蔵入米我等共江被 仰付候處
+
             さかへ。大そねしたは谷川
  才覚不相成貴殿へ御頼申入候得者前書之銀御貸
+
             限り。この内竹木浮徳毛
  被下、慥借用仕、米上納仕候所、実正也、然上者三月より
+
             の上これ有り、諸ろ有り残り無く。
  十二月迄壱割半之加利にて元利無不足返済可仕候
+
  一林山
  万一本人不埒仕候ハバ請人より日限ニ急度埒明可申候
+
   この山役判銀弐分
  返弁方之儀被入御念候ニ付、此月当神門郡ニ而弐拾
+
    座役   弐分   只今請け取り申しそうろう
  四ケ村より別紙證文相渡候通少無相違返弁可仕候
+
    代銀〆弐貫目
  ケ様相定候上者仮令如何様之不慮新規
+
  右は、私共寄り合いに小谷村所持仕りそうろう畑方林山、
  御国法出来候共、毛頭相違申間敷候条後日
+
  この度、相談、得心の上、貴殿へ売り渡し申す所、紛れ
  請人并御役所御奥書取之相渡申所
+
  御座無くそうろう。則ち、代銀書面の通りたしかに請け取り、差し支え御上
              仍如件
+
  納その外払い方等まで相済み、御公儀表内々まで障りなく
               雲州神門郡大津借主
+
  売り渡し申しそうろう然る上は、当戌年より、御公儀御上納方ならびに、
                    山田 又左衛門  印
+
  地下諸入用等迄、貴殿御勤めなさるべくそうろう、畑方林山
    宝暦十四申十一月   同所  同断
+
  御才判なさるべくそうろう、尤も、来る亥十二月十五日限り、右、本銀
                    森廣 幾太    印 
+
  弐貫目御返済仕りそうらわば、右、地所お戻しなさるべくそうろう、
               同郡  知井宮
+
  請け返しに仕りそうろうとも、立木壱はへは、貴殿お伐り
                    山本 仁兵衛   印
+
  取り成さるべくそうろうもし切れ日限に銀子支度相い成らず請け
               同郡  杵築請人
+
  返し仕らず候わば、別紙捨証文仕るに及ばず、此の証文を以て貴殿
                    藤間 久左衛門  印
+
  (ママ)
               松江請人
+
  幾々御心に任せ、御存分に御才判成さるべく候、いか様
                    森脇 甚右衛門  印
+
  得心の上に売り渡し申す上は、その節、私共は申すに及ばず、
 +
  子孫、親類に至るまで一言も申し分御座無く候
  
 
=== 2枚目(全2枚の内) ===
 
=== 2枚目(全2枚の内) ===
  
[[ファイル:2-1-2.JPG|600px]]
+
[[ファイル:P1030143.JPG|600px]]
 +
為後年
 +
証人ヲ立小谷村役衆中連判ヲ以売証文
 +
相渡申所仍而如件
 +
 安永七年     畑山売り人久喜原村
 +
   戌四月日       茂右衛門(印)
 +
同 同   善治郎(印)
 +
又重郎(印)
 +
証人同村 又兵衛(印)
 +
同小谷村 金三郎(印)
 +
小谷村頭百姓 忠右衛門(印)
 +
同   同 太郎右衛門(印)
 +
同村庄屋  佐兵衛(印)
 +
    浜原西田屋
 +
    幾六殿
  
        石州銀山御領
+
  後年の為め
            西田屋喜六 殿
+
  証人を立て小谷村役衆中連判を以って売り証文
            角屋庄十郎 殿
+
  あい渡し申す所仍って件の如し
  前書之通承届御返弁之儀相違無之様
+
  安永七年 畑山売り人久喜原村
急度可申付候御奥書如件
+
     
             雲州勝手方役
 
                 和田 理八
 
                 岡本 彦助
 
                 田中 幸平
 
                 後藤 久兵衛
 
                 荒井 助市
 
             同奉行
 
                磯崎 丈太夫
 
                湯川 冶兵衛
 
                山本 覚兵衛
 
            西田屋 喜六 殿
 
            角屋  庄十郎殿
 
  
 
+
== 現代語訳 ==
== 書き下し文 ==
+
  二年間畑と林山を売ること
 
 
  借用申す銀子のこと
 
 
   
 
   
   丁銀二拾五貫目なり   但し申三月元日十二月切
+
  一畑方弐斗五升前  
                 利ノ分一割半ニシテ
+
  境目は、かみしもではあなたが所有する土地が境で、うえしたでは山の上から谷川までが境です。
 +
この内、浮徳、竹木、収穫できるその他のもろもろも残り無く。
 
   
 
   
  右は二の丸お蔵入り米我ら共へ、仰せつけられ候ところ
+
  一林山
  才覚相ならず。貴殿へ御頼み申し入れ候へば、前書の銀御貸し
+
   この山役は判銀二分、座役は二分です。 合計代銀二貫目を 只今受け取りました。 
  下され、たしかに借用つかまつり、米上納仕り候所、実正なり、しかる上は三月より
+
   
  十二月まで一割半の加利にて元利不足なく返済仕るべく候
+
  二つの物件は私どもが共同で小谷村に所持している畑と林山です。
  万一本人不埒仕り候はば、請け人より日限にきっとらち明け申すべく候
+
  私たちが話し合って納得したうえであなたにお売りしたことに間違いはございません。
  返弁方の儀ご念を入れられ候につき、この月当神門郡にて二十
+
  代銀は書面通り確かに受け取りました。ご公儀幕府にご上納しその外の支払いも済ませました。
  四ヵ村より別紙証文相渡し候とおり少しも相違なく返弁仕るべく候
+
  そうであるからには、ことし戌年より御公儀御上納方、ならびに
  かようあい定め候上はたとえいかようの不慮新規
+
  地下村の諸入用などまで、貴殿はお勤めなさって下さい。
  御国法しゅったい候とも、もうとう相違申すまじく候条後日
+
  畑方林山はどうぞ管理なさってください。但し、来る亥年の十二月十五日までに、
  請け人ならびにお役所御奥書きこれを取り相渡し申すところ
+
  右の本銀(元金)を御返済されたなら、右の地所はお戻しなさってください。
  よって件のごとし
+
  我々が請け返すことになっても、今育っている立木に限っては、貴殿がお伐り取ることができます。
 
   
 
   
  前書きのとおり承り届けお返弁の儀 相違これ無きよう
+
  もし期限の日までに銀子を用意できず土地を取り戻せ
  きっと申しつくべく候御奥書き件のごとし
+
  なかったら、別紙に捨証文を書くには及ばないので、この証文にもとづいて、
 
+
貴殿はいつまでもお心に任せ、存分に管理なさってください。
 +
このように心得たうえで売り渡したので、私は言うまでもなく、
 +
子孫、親類の者に至るまで何も言うことはありません
 
   
 
   
== 現代語訳 ==
+
後年のことのために、
 
+
証人を立て、小谷村の役人にも連判してもらい、売り証文を渡すことは、
松江城ニの丸のお蔵入り米を私どもに仰せつけられたけれども
+
以上の通りである。
算段がつきませんので、あなた様へ御頼みいたしましたところ、前書きの銀子をお貸し
+
(以下省略)
くださることにことになり、たしかに受け取りました。
 
お借りしたうえは、3月から12月まで1割半の利息で元利ともに不足なく返済いたします。
 
万一私ども借主がお返しできなかった時には、請け人が日限迄にきっとお返し致します。
 
間違えなくお返しいたします。返済について御念を入れられたので、宝暦14年11月、神門郡にて
 
24ヵ村より別紙証文をお渡しした通り、少しも相違無くお返し致します。
 
このように決めたうえは、いかなる別の新しい法律ができたとしても、間違えなくお返し致します。以上の通り、後日、
 
請け人及びお役所の奥書きを取りお渡ししました。
 
宝暦14年申4月(明和元年・1764年)<ref>脚註のダミーです。</ref>
 
 
 
ニの丸お蔵入り米を才覚できず、丁銀25貫目の借用申し込みをする。
 
これによって米を上納した
 
3月~12月まで一割半の利で返済を約束する
 
 
 
■借主 雲州神門郡大津の山田又右衛門、森廣幾太
 
 
 
■保証人 雲州郡知伊宮の山本仁兵衛、杵築の藤間久左衛門、松江の森脇甚右衛門
 
 
 
■貸主 西田屋幾六、角屋庄十郎
 
 
 
■松江藩勝手方役人、奉行が連著保証の奥書きをしている
 
 
 
    勝手方役人 和田理八、岡本彦助、田中幸平、後藤九兵衛、荒井助市
 
 
 
    勝手方奉行 磯崎丈太夫、湯川治兵衛、山本覚兵衛
 
 
 
  
 
== 脚註 ==
 
== 脚註 ==

2018年7月5日 (木) 07:52時点における最新版

目録番号:ま

担当:島根大学法文学部社会文化学科歴史と考古コース古文書ゼミ


文書画像と釈文、書き下し文[編集]

1枚目(全2枚の内)[編集]

P1030142.JPG

弐年季売渡申畑方林山之事

所ハ小谷村原ノおくゑのむかい
一畑方弐斗五升前   境目義かみしも貴殿
           さかへ大そねしたハ谷川
           限り此内竹木浮徳毛
           之上有之諸有無残り
一林山
 此山役判銀弐分
  座役  弐分   只今請取申候
  代銀〆弐貫目
右者私共寄合ニ小谷村所持仕候畑方林山
此度相談得心之上貴殿へ売渡し申所紛無
御座候則代銀書面之通り慥ニ請取差支御上
納其外払方等迄相済御公儀表内々迄無障
売渡申候然上ハ当戌年ゟ御公儀御上納方并
地下諸入用等迄貴殿御勤可被成候畑方林山
御才判可被成候尤来亥十二月十五日限り右本銀
弐貫目御返済仕候ハヽ右地所御戻し可被下候
請返ニ仕候とも立木壱はへ分者貴殿御伐り
取可被成候若切日限ニ銀子支度不相成請
返シ不仕候ハヽ、別紙捨証文不及仕此証文ヲ以貴殿
幾々任御心御存分ニ御才判可被成候いヶ様
得心之上売渡し申上ハ其節私共ハ不及申
子孫親類至迄一言申分無御座候


弐年季売り渡し申す畑方林山の事

所は小谷村原のおくゑのむかい
一畑方弐斗五升前   境目義、かみしも貴殿
           さかへ。大そねしたは谷川
           限り。この内竹木浮徳毛
           の上これ有り、諸ろ有り残り無く。
一林山
 この山役判銀弐分
  座役   弐分   只今請け取り申しそうろう
  代銀〆弐貫目
右は、私共寄り合いに小谷村所持仕りそうろう畑方林山、
この度、相談、得心の上、貴殿へ売り渡し申す所、紛れ
御座無くそうろう。則ち、代銀書面の通りたしかに請け取り、差し支え御上
納その外払い方等まで相済み、御公儀表内々まで障りなく
売り渡し申しそうろう然る上は、当戌年より、御公儀御上納方ならびに、
地下諸入用等迄、貴殿御勤めなさるべくそうろう、畑方林山
御才判なさるべくそうろう、尤も、来る亥十二月十五日限り、右、本銀
弐貫目御返済仕りそうらわば、右、地所お戻しなさるべくそうろう、
請け返しに仕りそうろうとも、立木壱はへは、貴殿お伐り
取り成さるべくそうろうもし切れ日限に銀子支度相い成らず請け
返し仕らず候わば、別紙捨証文仕るに及ばず、此の証文を以て貴殿
(ママ)
幾々御心に任せ、御存分に御才判成さるべく候、いか様
得心の上に売り渡し申す上は、その節、私共は申すに及ばず、
子孫、親類に至るまで一言も申し分御座無く候

2枚目(全2枚の内)[編集]

P1030143.JPG

為後年
証人ヲ立小谷村役衆中連判ヲ以売証文
相渡申所仍而如件
 安永七年     畑山売り人久喜原村
   戌四月日       茂右衛門(印)
同 同   善治郎(印)
又重郎(印)
証人同村 又兵衛(印)
同小谷村 金三郎(印)
小谷村頭百姓 忠右衛門(印)
同   同 太郎右衛門(印)
同村庄屋  佐兵衛(印)
    浜原西田屋
    幾六殿
後年の為め
証人を立て小谷村役衆中連判を以って売り証文
あい渡し申す所仍って件の如し
安永七年 畑山売り人久喜原村

     

現代語訳[編集]

二年間畑と林山を売ること

一畑方弐斗五升前  
境目は、かみしもではあなたが所有する土地が境で、うえしたでは山の上から谷川までが境です。
この内、浮徳、竹木、収穫できるその他のもろもろも残り無く。

一林山
 この山役は判銀二分、座役は二分です。 合計代銀二貫目を 只今受け取りました。 
 
二つの物件は私どもが共同で小谷村に所持している畑と林山です。
私たちが話し合って納得したうえであなたにお売りしたことに間違いはございません。
代銀は書面通り確かに受け取りました。ご公儀幕府にご上納しその外の支払いも済ませました。
そうであるからには、ことし戌年より御公儀御上納方、ならびに
地下村の諸入用などまで、貴殿はお勤めなさって下さい。
畑方林山はどうぞ管理なさってください。但し、来る亥年の十二月十五日までに、
右の本銀(元金)を御返済されたなら、右の地所はお戻しなさってください。
我々が請け返すことになっても、今育っている立木に限っては、貴殿がお伐り取ることができます。

もし期限の日までに銀子を用意できず土地を取り戻せ
なかったら、別紙に捨証文を書くには及ばないので、この証文にもとづいて、
貴殿はいつまでもお心に任せ、存分に管理なさってください。
このように心得たうえで売り渡したので、私は言うまでもなく、
子孫、親類の者に至るまで何も言うことはありません

後年のことのために、
証人を立て、小谷村の役人にも連判してもらい、売り証文を渡すことは、
以上の通りである。
(以下省略)

脚註[編集]


コメント[編集]

<comments hideform="false" /> トーク:小谷村の畑林山売渡證文