「浜原村明細帳」の版間の差分

提供:石見銀山領33ヵ寺巡り
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[[Category:中村家文書|は]]
 
[[Category:中村家文書|は]]
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== 文書画像と釈文 ==
+
== 文書画像と釈文と書き下し文 ==
  
=== 1枚目(全2枚の内) ===
+
=== 1枚目(全6枚の内) ===
  
[[ファイル:2-1-1.JPG|600px]]
+
[[ファイル:364-1.JPG|600px]]
 +
石見国邑智郡浜原村明細帳
 +
     
  
     借用申銀子事
+
=== 2枚目(全6枚の内) ===
  丁銀弐拾五貫目也  但 申三月元日十二月切利ノ分壱割半ニシテ
 
右者二之丸御蔵入米我等共江被 仰付候處
 
才覚不相成貴殿へ御頼申入候得者前書之銀御貸
 
被下、慥借用仕、米上納仕候所、実正也、然上者三月より
 
十二月迄壱割半之加利にて元利無不足返済可仕候
 
万一本人不埒仕候ハバ請人より日限ニ急度埒明可申候
 
返弁方之儀被入御念候ニ付、此月当神門郡ニ而弐拾
 
四ケ村より別紙證文相渡候通少無相違返弁可仕候
 
ケ様相定候上者仮令如何様之不慮新規
 
御国法出来候共、毛頭相違申間敷候条後日
 
請人并御役所御奥書取之相渡申所
 
            仍如件
 
             雲州神門郡大津借主
 
                  山田 又左衛門  印
 
  宝暦十四申十一月   同所  同断
 
                  森廣 幾太    印 
 
             同郡  知井宮
 
                  山本 仁兵衛   印
 
             同郡  杵築請人
 
                  藤間 久左衛門  印
 
             松江請人
 
                  森脇 甚右衛門  印
 
  
=== 2枚目(全2枚の内) ===
+
[[ファイル:364-2.JPG|600px]]
 +
一高弐百三拾壱石六斗三合    石見国邑智郡
 +
                     浜原村
 +
   此反別 三拾六町三反壱畝五歩        上々田 拾六
 +
       此訳                上田  拾五
 +
  田高百弐拾五石八斗三升九合       石盛 中田  十三
 +
   此反別 拾町四反四畝拾六歩         下田  拾壱
 +
                         下々田 八つ
 +
内 壱石壱斗六升四合     前々之田畑成盛違無土高
 +
        三斗五升              前々川欠永引
 +
        此反別 弐畝拾歩    
 +
     残百弐拾四石三斗弐升五合
 +
      此反別拾町四反弐畝六歩
 +
        
 +
        内拾四石弐升壱合       両毛作
 +
         此反別八反九畝弐歩
  
[[ファイル:2-1-2.JPG|600px]]
+
前々田畑成り盛違い無土高
 +
前々川欠き永引き
  
      石州銀山御領
+
=== 3枚目(全6枚の内) ===
          西田屋喜六 殿
 
          角屋庄十郎 殿
 
前書之通承届御返弁之儀相違無之様
 
急度可申付候御奥書如件
 
             雲州勝手方役
 
                 和田 理八
 
                 岡本 彦助
 
                 田中 幸平
 
                 後藤 久兵衛
 
                 荒井 助市
 
             同奉行
 
                磯崎 丈太夫
 
                湯川 冶兵衛
 
                山本 覚兵衛
 
            西田屋 喜六 殿
 
            角屋  庄十郎殿
 
  
 +
[[ファイル:364-3.JPG|600px]]
 +
畑高百四石九斗六升九合            上々 九ツ
 +
  此反別弐拾五町四反九畝弐拾六歩   石盛 上  八ツ
 +
                       中  五ツ
 +
下  弐ツ
 +
内壱斗壱升弐合            
 +
     此反別壱畝拾弐歩          
 +
 残百四石八斗五升七合
 +
   此反別弐拾五町四反八畝十六歩     口留御番所敷地引
 +
 +
新田高八升               石盛 八ツ
 +
  此反別壱畝歩
 +
 +
新畑高七斗壱升五合           石盛 弐ツ
 +
  此反別三反五畝弐拾三歩
 +
 +
去申年宗門帳
 +
一家数 九拾九軒
 +
 同断
 +
一人数 三百九拾五人
 +
 同断
 +
一牛 四拾弐疋
 +
 同断
 +
一馬 八疋
 +
願諸
 +
一社 壱ヶ所  八幡宮
 +
 +
是者給米無御座候
 +
一目代 壱人    敷地除地
  
== 書き下し文 ==
+
畑高百四石九斗六升九合            上々 九ツ
 
+
  此反別弐拾五町四反九畝弐拾六歩   石盛 上  八ツ
  借用申す銀子のこと
+
    内壱斗壱升弐合            中  五ツ
 +
     此反別壱畝拾弐歩          下  弐ツ
 +
 残百四石八斗五升七合
 +
   此反別弐拾五町四反八畝十六歩     口留御番所敷地引き
 +
 +
新田高八升               石盛 八ツ
 +
    此反別壱畝歩
 
   
 
   
   丁銀二拾五貫目なり   但し申三月元日十二月切
+
  新畑高七斗壱升五合           石盛 弐ツ
                 利ノ分一割半ニシテ
+
    此反別三反五畝弐拾三歩
 
   
 
   
  右は二の丸お蔵入り米我ら共へ、仰せつけられ候ところ
+
  去る申年宗門帳
  才覚相ならず。貴殿へ御頼み申し入れ候へば、前書の銀御貸し
+
  一家数 九拾九軒
  下され、たしかに借用つかまつり、米上納仕り候所、実正なり、しかる上は三月より
+
   同断
  十二月まで一割半の加利にて元利不足なく返済仕るべく候
+
  一人数 三百九拾五人
  万一本人不埒仕り候はば、請け人より日限にきっとらち明け申すべく候
+
   同断
  返弁方の儀ご念を入れられ候につき、この月当神門郡にて二十
+
  一牛 四拾弐疋
  四ヵ村より別紙証文相渡し候とおり少しも相違なく返弁仕るべく候
+
   同断
  かようあい定め候上はたとえいかようの不慮新規
+
  一馬 八疋
  御国法しゅったい候とも、もうとう相違申すまじく候条後日
+
  願諸
  請け人ならびにお役所御奥書きこれを取り相渡し申すところ
+
  一社 壱ヶ所  八幡宮
よって件のごとし
 
 
   
 
   
  前書きのとおり承り届けお返弁の儀 相違これ無きよう
+
  是れは給米御座無く候。
  きっと申しつくべく候御奥書き件のごとし
+
  一目代 壱人   敷地除地
 +
 
 +
=== 4枚目(全6枚の内) ===
 +
 
 +
[[ファイル:364-4.JPG|600px]]
 +
一下使 壱人
 +
   是者給米村高ニ而弐斗三升宛取来候
 +
一村内 東西 三町
 +
南北 拾三町
 +
一当村土目 くろぼく 白砂
 +
あかつち 真つち
 +
一郷川筋 備後国ゟ落下りの川村内長サ拾三町
 +
河下モ江津迄拾弐里半但石砂川
 +
一同 横渡場凡六拾間余石砂川
 +
一 百姓山五ヶ所 雑木小木
 +
一 草山無御座候ニ付久保村 山手銀五拾目余相渡年々草刈来申候
 +
          川戸村
 +
一 野原秣場入合之訳無御座候
 +
一 他村ゟ取立候小物成無御座候
 +
一 御普請所 壱ヶ所
 +
一 自普請所 五ヶ所
 +
   内 壱ヶ所 溜井
 +
     壱ヶ所 土橋
 +
     三ヶ所 川除
 +
一 古城山無御座候
 +
一 町場少々御座候毎年壱度宛牛馬売買仕候
 +
一 金山鉄山銅山無御座候
 +
 
 +
一下使 壱人
 +
   是れは給米村高にて弐斗三升ずつ取り来たり候。
 +
一村内 東西 三町
 +
南北 拾三町
 +
一当村土目 くろぼく、白砂
 +
あかつち、まさつち
 +
一郷の川筋 備後国より落ち下りの川。村内長さ拾三町。
 +
河下も江津迄拾弐里半。但し石砂川。
 +
一同 横渡し場凡そ六拾間余り石砂川。
 +
一 百姓山五ヶ所 雑木小木
 +
一 草山ござなくそうろうに付き久保村 山手銀五拾目余り相渡し年々草刈り
 +
川戸村 来たり申しそうろう
 +
          
 +
一 野原秣場入り合いの訳ござなくそうろう
 +
一 他村より取り立てそうろう小物成ござなくそうろう
 +
一 御普請所 壱ヶ所
 +
一 自普請所 五ヶ所
 +
   内 壱ヶ所 溜井
 +
     壱ヶ所 土橋
 +
     三ヶ所 川除
 +
一 古城山ござなくそうろう
 +
一 町場少々ござそうろう毎年壱度宛牛馬売買仕りそうろう
 +
一 金山鉄山銅山ござなくそうろう
  
+
=== 5枚目(全6枚の内) ===
== 現代語訳 ==
+
 
 +
[[ファイル:364-5.JPG|600px]]
 +
一 当村旱損場七拾石余御座候勿論郷川出水之節ハ
 +
水損場五拾石余御座候
 +
一 田畑こやし馬ごゑくみこゑ柴草苅草
 +
など仕来候
 +
一 農業之間男ハ薪縄むしろなと仕女ハ着用
 +
之布木綿仕候
 +
一 御米津出場大浦湊迠道法七里余
 +
一 木綿作り不申候
 +
一 田方早稲中稲少々作り申候晩稲余分作り申候
 +
一、 畑方ハ粟稗大小豆大麦小麦作り申候
 +
一、 御高札壱ヶ所 但 切支丹札 駄賃札
 +
           火付札
 +
一、 小作直段壱反二付 上田 八十目 上畑 六拾目
 +
         中田 六拾目 中畑 四拾匁 
 +
         下田 四十目 下畑 弐拾九匁
 +
一、 御年貢米并村入用勘定目録相調惣百姓連判仕
 +
毎年御役所江差上御押切帳村方所持仕候
 +
一、 当村方谷深谷々之村方ニ而御座候
  
松江城ニの丸のお蔵入り米を私どもに仰せつけられたけれども
 
算段がつきませんので、あなた様へ御頼みいたしましたところ、前書きの銀子をお貸し
 
くださることにことになり、たしかに受け取りました。
 
お借りしたうえは、3月から12月まで1割半の利息で元利ともに不足なく返済いたします。
 
万一私ども借主がお返しできなかった時には、請け人が日限迄にきっとお返し致します。
 
間違えなくお返しいたします。返済について御念を入れられたので、宝暦14年11月、神門郡にて
 
24ヵ村より別紙証文をお渡しした通り、少しも相違無くお返し致します。
 
このように決めたうえは、いかなる別の新しい法律ができたとしても、間違えなくお返し致します。以上の通り、後日、
 
請け人及びお役所の奥書きを取りお渡ししました。
 
宝暦14年申4月(明和元年・1764年)<ref>脚註のダミーです。</ref>
 
  
ニの丸お蔵入り米を才覚できず、丁銀25貫目の借用申し込みをする。
+
一 当村旱損場七拾石余り御座候、勿論郷川出水の節は
これによって米を上納した
+
出水場五拾石余り御座候
3月~12月まで一割半の利で返済を約束する
+
一 田畑こやし馬ごゑくみこゑ柴草苅草
 +
など仕り来たり候
 +
一 農業の間男は薪縄むしろなど仕り、女は着用
 +
の布木綿仕り候
 +
一 御米津出場大浦湊迠道法七里余り
 +
一 木綿作り申さず候
 +
一 田方早稲中稲少々作り申し候晩稲余分作り申し候
 +
一、 畑方は粟稗大小豆大麦小麦作り申し候。
 +
一、 御高札壱ヶ所 但し 切支丹札 駄賃札
 +
          火付札
 +
一、 小作値段壱反に付き 上田 八十目 上畑 六拾目
 +
          中田 六拾目 中畑 四十匁
 +
          下田 四十目 下畑 弐拾九匁
 +
一、 御年貢米ならびに村入用勘定目録相調え、惣百姓連判仕り、
 +
毎年御役所へ差し上げ、御押切帳方所持仕り候。
 +
一、 当村方谷深谷々の村方にて御座候。
  
■借主 雲州神門郡大津の山田又右衛門、森廣幾太
+
=== 6枚目(全6枚の内) ===
  
■保証人 雲州郡知伊宮の山本仁兵衛、杵築の藤間久左衛門、松江の森脇甚右衛門
+
[[ファイル:364-6.JPG|600px]]
 +
右者高反別其外村方有来候諸色不残
 +
書上申所少茂相違無御座候
 +
  宝暦拾壱年
  
■貸主 西田屋幾六、角屋庄十郎
+
右は高反別その外村方有り来り候
 +
諸色残らず書き上げ申す所、少しも相違御座無く候。
 +
   宝暦拾壱年
  
■松江藩勝手方役人、奉行が連著保証の奥書きをしている
+
== 現代語訳 ==
 +
以前に田畑と伐った個所、石盛に違いがあり、石高は付いていません。
 +
以前洪水などの事情で田畑としていないところは対象から除いています。
 +
 
 +
畑高百四石九斗六升九合               上々畑 九斗
 +
  この畑の面積弐拾五町四反九畝弐拾六歩   石盛 上畑  八斗
 +
    内、壱斗壱升弐合              中畑  五斗
 +
     この畑の面積壱畝拾弐歩          下畑  弐斗
 +
 残り百四石八斗五升七合
 +
  この畑の面積弐拾五町四反八畝十六歩     口留御番所による敷地引き
 +
 +
新田高八升                 石盛 八斗
 +
  この田の面積壱畝歩
 +
 +
新畑高七斗壱升五合             石盛 弐斗
 +
  この畑の面積三反五畝弐拾三歩
 +
 +
去る申年宗門帳
 +
一家数 九拾九軒
 +
 同断
 +
一人数 三百九拾五人
 +
 同断
 +
一牛 四拾弐疋
 +
 同断
 +
一馬 八疋
 +
願諸
 +
一社 壱ヶ所  八幡宮
 +
1か条未解読
 +
これは給米はございません
 +
一目代 壱人   敷地除地(免租地)
  
    勝手方役人 和田理八、岡本彦助、田中幸平、後藤九兵衛、荒井助市
+
一下使 壱人
 +
   この給米は、村高から弐斗三升ずつ取って来ています。
 +
一村内 東西 三町
 +
南北 拾三町
 +
一当村土目 くろぼく、白砂
 +
あかつち、まさつち
 +
一郷の川筋 備後国より落ち下っている川。村内を長さ拾三町流れている。
 +
濱原から河下も江津まで拾弐里半下っている。但し石砂川である。
 +
一同 横渡し場は凡そ六拾間余りで石砂川である。
 +
一 百姓山五ヶ所 雑木や小木が生えています。
 +
一 草山がないので、久保村と川戸村に山手銀五拾目を渡して草を刈らせてもらっています。
 +
一 牛馬えさ用の共有草場はありません。
 +
一 他村から取り立てている税はありません。
 +
一 領主の土木工事場 一カ所
 +
一 村で行っている土木工事場 五ヶ所
 +
   内 一ヶ所 遊水地づくり
 +
     一ヶ所 土橋づくり
 +
     三ヶ所 堤防工事
 +
一 古城山はありません。
 +
一 町場が少しあり、毎年一回ずつ牛馬市をしています。
 +
一 金山鉄山銅山はありません。
  
    勝手方奉行 磯崎丈太夫、湯川治兵衛、山本覚兵衛
+
一 当村において水が不足している場所は、七拾石余りございます。勿論、江の川が氾濫した際に水につかってしまう場所は、五拾石余りございます。
 +
一 田畑には肥料として、馬肥・汲肥・柴草・刈草などをあてております。
 +
一 農業の間、男は薪や縄や莚などを拵えます。女は着用する木綿を拵えます。
 +
一 年貢米の津出場である大浦湊までの距離は七里余り。
 +
一 木綿は作りません。
 +
一 田では早稲中稲を少々作ります。晩稲は余分に作ります。
  
 +
一、 畑方では粟・稗・大豆・小豆・大麦・小麦などを作っております。
 +
一、 御高札は一カ所 但し キリシタン札 駄賃札
 +
           火付け札
 +
一、 小作値段(小作料)は一反につき 上田 八十目 上畑 六十目
 +
          中田 六十目 中畑 四十文
 +
          下田 四十目 下畑 二十九文
 +
一、 御年貢米ならびに村入用勘定目録を作成し、惣百姓らはそれに連判しています。
 +
作成した目録は毎年御役所へ差し上げ、御押切帳は村方が所持しています。
 +
一、 当村方は谷深く谷あい村でございます。
 +
右は、石高・面積そのほか、村のこれまでの○○を、様々残らず
 +
書き上げ申す所は、少しも違いはございません。
 +
   宝暦十一年
  
 
== 脚註 ==
 
== 脚註 ==

2016年8月11日 (木) 05:35時点における最新版