お満衣類諸道具改覚

提供:桜江古文書を現代に活かす会
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目録番号:箱1 119

担当:古文書に親しむ会 in 松江


文書画像と釈文[編集]

1枚目(全10枚の内)[編集]

Oman1h.JPG

文化九申年
    十月
お満衣類諸道具改覚


2枚目(全10枚の内)[編集]

Oman2h.JPG

一郡内かすり[1]綿入 裏紅
         すそかすり     壱つ
          はつかけ[2]
一縮緬木工染[3]綿入 うら紅       壱つ
一黒繻子綿入   うら紅
         鶴宗ぬい      壱つ
一金もふる[4]綿入  うら紅       壱つ
一空色綸子綿入  うら紅       壱つ
一縮緬薄空色綿入 うら紅
         松竹梅       壱つ
          宗もよふ
一ひ綸子綿入   右同断       壱つ
一かヽ空色綿入  うら紅
         松ぬい       壱つ
          すそもよふ
一緋縮緬綿入   うら紅
         松竹梅ぬい     壱つ
          宗もよふ

3枚目(全10枚の内)[編集]

Oman3h.JPG

一ひ縮緬綿入   うら浅黄
         松竹梅宗ぬい    壱つ
  此分ときはなし[5]帛也
一とんす御納戸茶[6]綿入 うら紅
           梅のぬい    壱つ
一きんもうる綿入 うら紅       壱つ
一錦わた入    うら
          ひ縮緬      壱つ
一柳色[7]服わた入            壱つ
一黄むくわた入            弐つ
一はぶたい白むくわた入        弐つ
一綸子白むく綿入           壱つ
一青目嶋[8]わた入  うら
          むらさき     壱つ
〆

一黒ツムキ袷   うらもみ
         むらさき      壱つ 
         ちりめんはつかけ
一紋綸子ふじ色袷 うら
          柳色       壱つ
一縮緬ふし色袷  うらもみ      壱つ
一同茶袷     うらもみ
         菊の宗もよふ    壱つ
一ふとり[9]紬すヽ竹色[10]袷 うらもみ
            小紋はつかけ 壱つ
一かヽ浅黄しばん袷[11] えりびろうと
          袖ハ浅キちりめん 壱つ
一白かヽ浅黄しばん袷 えり袖
           小紋ちりめん  壱つ
一白紅ぬいませしばん袷 えり袖
            藤色ちりめん 壱つ 


4枚目(全10枚の内)[編集]

Oman4h.JPG

一ひ縮緬しばん袷           壱つ
一縮緬いたじめしはん袷        壱つ
一はぶたい白むく袷          壱つ
〆

一ツムキ嶋ひとへもの         壱つ
一 同  ひとへもの         壱つ
一 同  ひとへもの         壱つ
一ツムキすみる茶[12]ひとへもの      壱つ
一縮緬茶ひとへもの 宗もよふ     壱つ
〆

一越後ちヽみ[13]ふし色かたひら      壱つ
一 同 嶋かたひら          壱つ
一 同 嶋かたひら          壱つ
一 同 ふし色かたひら 宗もよふ   壱つ
一 同 嶋かたひら          壱つ
一さらし小紋かたひら         壱つ
一越後空色かたひら          壱つ
一越後空色かたひら 宗もよふ     壱つ
一嶋上ふ[14]かたひら           壱つ
一さらしはた色かたひら 宗もよふ   壱つ
一きぬちヽみ茶かたひら 同断     壱つ 

5枚目(全10枚の内)[編集]

Oman5h.JPG

一ろ[15]かたひら             壱つ
一きぬちヽみすヽ竹色 ぬいそそもよふ 壱つ
        かたひら
一絽袷かたひら  宗もよふ      壱つ
一越後白かたひら           弐つ
一さらし白かたひら          三つ
一さらししゅはん  えり袖
         白りんす      壱つ
一絽のかつき[16]かたひら         壱つ
一さらししゆばん           弐つ
〆

一木綿ひんろうしかつば[17] えり黒繻子
            うらさらし  壱つ
一同わた入羽おり 山崎定紋入     壱つ
一ふし色縮緬 あらい色也
        おもて        壱つ
一花いろ紋かヽ あらい色也
         おもて       壱つ
一柳色うら              壱つ
一そら色かヽおもて
 もヽ色うらともニ
      ときはなし       ・弐つ
一紋ば[18]胴衣[19]              弐つ
一木綿ひんろうし染り紋[20]付       壱反
一ツムキこん花色染り紋付       壱反
一茶ちりめんしゆはん袖口 古キ分
                   弐つ

6枚目(全10枚の内)[編集]

Oman6h.JPG

一うけおり[21]帯地            壱筋
一木綿大風呂敷 てつせん
        もよふ紋付      弐つ
一男帯地 もうる           壱筋
〆

一帯                拾六筋
  此わけ
   ひろうと  しゆす白黒
   黒とんす  きんもうる
   ありす河[22]  厚板[23]
   白りんす  もうる
   〆
一糸嶋帯     古キ分      壱筋
一腰帯               拾五筋
   ちりめん きんもうる かへち・・
   白りんす さなたともニ
〆

一とんす夜き             壱つ
  同 ふとん            壱つ
  同 枕              弐つ
 〆
一木綿ふたん夜き           壱つ
  ふとんハ病中敷候ゆへ
  あらい置申候
一同かけふとん            壱つ
   ハ
  是は新敷候所病中
  かけ候ゆへあらい置申候

7枚目(全10枚の内)[編集]

Oman7h.JPG

一夏夜き               壱つ
  此分あたらしく御座候所
  つヽらへ鼠入所々きり申候
一花こさ[24] とんすへり絹
     もみへり絹         弐枚
  かやハ無御座候
一かこふとん[25] うらひちりめん
       もうる         壱つ
〆

一木綿花いろかんはん        四つ
 腰帯                四筋
 〆
一きぬつヽみ うらさらし       弐つ
 ふくさ うらひちりめん       五つ
  金の宗ぬい
一鼈甲櫛              拾壱枚
一 同 笄             拾弐本
一 同 かんさし          拾 本
     外ニおれ候分        弐本
一 同 びんはり[26]           壱本
 〆
一象牙かうかい            弐本
一 同くし              四枚
一 同かんさし            三本
      おれ候分とも
 〆
一銀かんさし             弐本
一銀のわけおさへ           壱つ
一木くし               弐枚
〆
    

8枚目(全10枚の内)[編集]

Oman8h.JPG

一びいとろ こうかい         弐本
      かんさし         四本
一べに楮口 ふた 茶わん之類
 化粧道具数十七     はさみ  壱本
    小たらひニ入有
 〆
   髪結いくしハ不幸之節
   ちりちりニ相成揃不申候

一かね付道具             一式
一かヽみ立              弐つ
一鏡                 二面
一櫛 引出内ニ壱つ入其外
       こまこま有       壱つ
一ぬりたらい 大小          弐つ
〆
一たはこ盆 内 かこたはこほん[27] 壱つ 弐つ
   きせる 拾本
  〆
一琴の爪 弐組   鏡付袋 壱つ  袋 壱つ
 守り 二袋    香箱ふくさ包 壱つ
 はまくりふくさ包 壱つ
 はな紙入小ふくさの類 楊枝さし
 散々商小物弐包有
一わたほうし □□ほうしの類
 □□包 ぼうしとめ針四本
 〆
一三味線 こま 壱つ   義太夫はち 壱枚
     歌はち 弐枚
     あたらしき根お 壱つ
     ふくさ 壱   □□□ 壱
   三味せんハ山崎え参り箱斗り此方ニ御座候

9枚目(全10枚の内)[編集]

Oman9h.JPG

一双六盤[28]               一式
一歌かるた              壱箱
一つれヽ草  弐巻   女千載和訓文[29] 壱巻
 女歌書大全[30] 三巻   君か代女筆[31]  弐巻
 糸のしらへ[32] 壱巻   道行本[33]    三冊 
 香道聞書  弐冊   文手本    七冊
 炉風炉
 衣類諸道具覚 壱冊
 〆
一硯箱                壱つ
一文箱箱入しんく緒とも        壱つ
一錦手箱内  懐中 弐つ  楊枝さし 弐つ
      ふくさ 壱つ かヽみ はな紙
一草子たんす[34]             壱つ
一糸くり箱 内 わく   六つ
        わくさし 弐つ    壱つ
一はりはこ はさみ
      さし・入         壱つ
一火のし[35]               壱つ
一ツムキとり             壱箱
一すみおけ              壱つ
一ゆこう[36]               壱つ
一ぬり御小箱 内ニござござもの入   壱つ
一毛せん               壱枚
一跡つけ[37]               壱つ
 のりかけたくり[38]           壱筋
一たひ○けやはん
一丁ちん 但袋ハ壱つ         弐つ
一さしかさ袋入            壱本
 日かさ 有同            壱本

10枚目(全10枚の内)[編集]

Oman10h.JPG

一すげがさ袋入            壱つ
一乗もの しんくふさ 箱入□     壱挺
一はさみ箱              壱荷
   木綿おふい 二荷分有
   雨おふい  壱荷分
一長持                三棹
一化粧たんす             壱棹
一衣裳たんす             壱棹
一つヽら               壱荷
〆

解説[編集]

お満は、大貫西田屋41代“久左衛門”と42代“金久郎”の中継養子“源右衛門”(金久郎の兄“幸蔵”の息子)と
濱原西田屋”幾六”の娘“おぬい”の間に生まれた娘である。
濱原西田屋“喜左衛門”に嫁いだが、家系図によれば文化8年に死亡している。
 しかし、この覚作成は、お満が亡くなった翌年文化9年である。
江戸時代、嫁入り道具は、嫁の持ち物だった。
地域によっては、嫁が不幸にして嫁ぎ先でなくなった場合、
その道具類は嫁の持ち物として実家に戻された例がある。
この覚えも、そのための品物改め(遺産目録)だった可能性がある。
 覚8枚目「髪結いくしハ不幸之節 ちりちりに相成揃不申候」とある。
「不幸の節」とは、お満さんが亡くなったことを示すのではなかろうか。

脚註[編集]

  1. 郡内(山梨県)産の絣。郡内は甲斐国都留郡桂川沿岸の村々。古くから絹織物産地として知られる。絣甲斐絹(かいき)。
  2. 八掛(はっかけ)。女物の袷や綿入れの裾裏に付ける布。すそまわし。
  3. 木目染のことか。
  4. 金モール織。経に絹糸、緯に金糸を用いる。
  5. 着物の縫い目をほどいて反物に戻した状態か。
  6. 御納戸色(暗くくすんだ青)に茶味を加えた暗い青緑色。
  7. かすかに灰色をおびた黄緑色。
  8. 青梅縞
  9. 太織(ふとり・ふとおり)。絹織物の一種。太い練絹糸を用いて平織りとしたものの総称。ふとぎぬ。
  10. 煤竹色。暗い黄褐色。
  11. 袷襦袢。裏のついたじゅばん。
  12. 素海松茶。菫色(紫)を帯びた茶色とも、みる色(黒ずんだ萌黄)を帯びた茶色とも
  13. 越後国魚沼地方の麻織物。小千谷縮。緯糸に強い撚りをかけて皺(しぼ)を出す。
  14. 縞上布。縞柄の上布。上布は薄地の良質な麻織物。
  15. 夏の着物。薄く透き通った絹織物。
  16. 被衣(かつぎ・かずき)。きぬかずき。上流の女性が外出のとき顔をかくすために頭からかぶった単衣。
  17. 合羽。雨具と防寒具を兼ねた肩や背をおおう外衣。
  18. 紋羽(もんぱ)。紋羽織。地質が厚く粗く、柔らかく、毛ば立たせて織った綿布。
  19. 胴衣・胴着(どうぎ)。上半身につける袖のない服。
  20. 染上紋(そめあげもん)・染紋。染め抜きにした紋。
  21. 浮織(うきおり・うけおり)。綾などの地紋の緯を浮かして織ること。
  22. 有栖川文を織りだした生地か。鹿・麒麟・竜などを菱形・八角形などの直線で囲んだもの。
  23. 厚板織。地の緯糸とは別の色緯糸を用いて地紋を織り出した厚地の絹織物。
  24. 種々の色に染めた藺草で模様を織り出したござ。
  25. 駕籠蒲団。駕籠の中に敷く座布団。
  26. 鯨髭(くじらひげ)または、細い鉄線などでこしらえ、これを撓(たわ)めて使う。
  27. 手提げのついた籠形のタバコ盆。
  28. 双六をするときに使う木製の盤。長方形の盤面の中央に一条の細い空地を設けて、敵・味方の陣に分け、縦に左右それぞれ12の地をつくったもの。
  29. 往来物。文正堂作。宝暦9年刊。
  30. 往来物。百人一首ほか。明和2年刊。
  31. 女筆君が代。往来物。長谷川如貞著。
  32. 歌謡。寛延4年刊。増補、大成等改版多い。
  33. 浄瑠璃などの道行の部分を集めた本。
  34. 書物箪笥。
  35. 火熨斗。布地のしわを伸ばすための道具。底の平らな金属製の器に木の柄をつけたもの。中に炭火を入れて熱し、布地にあてる。
  36. 衣桁(いこう)。衣服をかけておく台。
  37. 客の乗った馬の後方に荷をつけること。また、その荷。
  38. 乗懸(のりかけ)は、道中馬の両側に明荷という葛籠を2個わたし、さらに旅客を乗せて運ぶこと。 「たくり」は手繰りか。


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